酷暑

珍しくガリガリとコードを書きつつ適当にゲームを遊ぶ日々。結果がなかなか出ないのさえ気にしなければそう悪いものでもない。無駄な時間が減ったので料理の腕もかなり上がった。

暑い。

24時間エアコンが欠かせない。台北よりも東京の方が暑い。たまに外に出るとじりじりと焼かれる音が聞こえる。アスファルトから立ち上る陽炎に目を凝らすと蝉の声が一瞬途切れた気がした。

4月末に悪友であり先輩でありボスであったオッサンが死んだ。心不全。透析が必要にも関わらず1週間来ていなかったという。結果、自殺が疑われ警察の検証を待つ羽目になった。

今のボスから厳命を受け、即日台北に飛び、会社の資産を抑えるべく奔走することになった。したこともない探偵の真似事をする度に彼が困窮していたのが白日のもとに晒されていく。故人の真実を暴くのがオレの仕事なのか、とも思った。

暑い。酷く喉が渇く。

去年親父を亡くし、今年は恩人…ではないなやはり腐れ縁の悪友だ。大ウソツキの最低野郎だった。オレの200万返しやがれクソが。ただそれとは別にたっぷり稼がせては貰った。

遺族から遺体の引き取りを拒否されている。やらかした事を鑑みれば、まあ致し方なしだろう。無縁仏として陽名山の供養塔に遺骨は撒かれることになるらしい。今更母親の元に帰りたいと思うタイプでもないだろうから、そのままにしておく事にした。

「その時は朽ちればいいんだよ」

彼は確かにそう言った。ならそうしよう。覚えていれば、5年に1回くらいは酒とたばこを供えに行こうと思う。

それにしても東京は暑い。この時間でも